働き方改革の末路

【A】裁量労働制になっている。
【B】リモートワークを自由にしていい。

この【A】と【B】が、両方、整っている場合は、非常に危険である。
簡単に言うと、出勤が自由なのである。

ガイアックスでは、裁量労働制をできる限り導入している。そして、リモートワークもOKである。会議に始まる瞬間まで、オフィスにいるのかいないのかも分からない。
東京にいる面接中の大学生とも、なぜかよくオンライン会議となる。間違えてオフィスにいらっしゃった大学生が1人でオフィスから、ガイアックスのメンバーにオンライン会議していた。シュールである。

もはや、まったく管理できないし、組織の手触りがなくなってくる。
年一回とかのチームごとの合宿やオフサイトミーティングで、「はじめまして」という挨拶が連発するようになる。

 

【A】裁量労働制になっている。
【B】リモートワークを自由にしていい。
【C】クラウドソーシングを自由に使っていい。活用しまくっている。

クラウドソーシングを使っていい。いいように聞こえるが、実は、従業員としての立場が脅かされる第一歩である。
まぁクラウドソーシングと略しているが、シェアリングエコノミーの各種プラットフォームを使えば、ありとあらゆる業務をソーシングできるのである。

ガイアックスでは、新人でも、ともかくクラウドソーシングもしくは何かしらのシェアリングエコノミーのプラットフォームを利用するように勧めている。誰であっても5万円までの発注は、稟議なしでの発注を可能とした。
「えっ!そんなに自由にクラウドソーシングを使っていいの?細かいお仕事全部頼んじゃお!」
喜ぶのは早い。

もはや、事業運営をしている立場からすると、出社してこない社員も、クラウドソーサーも、もはや違いがなくなってくるのである。
ランサーズでいうところの「#採用やめよう」の世界観である。
もはや、社員の給料のベンチマークとして、クラウドソーサーと比較され、その上で給料が決められていくのである。
働き方改革という名の元に、自由な働き方を社員さんのために、と思わせておいて、真に危機が迫ってくるのは、社員さんの方かもしれないのだ!

 

【A】裁量労働制になっている。
【B】リモートワークを自由にしていい。
【C】クラウドソーシングを自由に使っていい。活用しまくっている。
【D】副業解禁。

普通、副業の解禁を段階的に行っていく会社が多い。たしかにどういう影響が発生するかわからないから、慎重に様子を見ながら解禁していく、というのは、ある意味、正しい動きなのかもしれない。
ただ、もはや、少しでも副業を解禁しはじめた時点で、「賽は投げられた」のである。また、もはや「50歩100歩」なのである。全部、自由に解禁せざるをえなくなるし、もはや、しちゃってもしょうがないかと思うしか無いのだと思う。

ガイアックスはどうなのか?自由である。自由にした、のではなく、もともと、自由。みんな意識してなかった。僕も気がつけば、過去何回か、他の上場企業の社外取締役とかやってたし。昔のCFOの小高さんが、当時、Tokyo Otaku Modeの創業メンバーに入ってマスコミを賑わしていたし。今も、ADDressを起業した佐別当さん、一応、ガイアックス正社員との兼業状態だし。兼業起業家だ!

僕の秘書さんも、気がつけば、ガイアックスの人事と、ガイアックスのグループ会社の管理部と、どこか外の会社の新規事業と3つを兼任している。結果的に、僕の秘書業は抜けつつある状態で、秘書さんではなく、元秘書さんな感じ。

Nagatacho GRiDでイベントとかをしていると、終了確認に、別の部署の若手営業マンがやってきたりする。
「あれ?なんで、君が終了確認してるの?」
「これ、副業で、一回あたりGRiD事業部から5000円もらえるので!」
グループ内にも、副業が飛び交っているのだ。
もはや、1人に対して、1つの部署からお金を支払う、という感じではない。

 

この【A】【B】【C】が揃っているところに、副業を解禁する、ってことは、本当にヤバイ。
もしも僕が社員の立場だとすると、個人として、会社が副業を解禁してくれるのであれば、単純にすごく喜んでしまうのかもしれない。
しかし、それは、会社全体としての深い闇への第一歩なのかもしれないのである。本来、副業解禁日というのは、会社の滅亡カウントダウン開始日として、線香の1つでも上げるべき日だったのかもしれない。
あなたが副業をするかどうかは関係ない。組織が崩壊しはじめるという深い闇への第一歩である。

ある事業の責任者がこう言い出した。
「この開発案件、ひとりで1人月ぐらいだから、ガイアックスグループの仕事出来るエンジニアさん誰か作ってくれないかな。」
「開発事業部に発注するってこと?」
「いや。事業部じゃなくて個人に発注したい。」
「えっ。それマズくない?個人に直接?事業部を通さず?」
「でも、きっとガイアックスグループのエンジニアさんも副業しているかもしれないよ。僕らも日頃からクラウドソーシングというか、副業として受けている人に発注しているかもしれないよ。だったら、もはや、最初から副業でどう?って尋ねるのでいいんじゃない?」
「それって、社内で、『そっちの事業部でこの開発請けたらいくらかかるの?で、君個人で請けたらいくらなの?』って会話をするってこと?」
「そうだね。」
そのうち、客先でも、これ会社で受けるといくらですが、個人で受けるといくらです。とかって言い出しそう。怖い怖い。

ガイアックスグループとして、決して、儲けどころを逸するわけにはいかない。

早く、ガイアックスの周りで個人で仕事を受けている人が、もっと楽に仕事を受けれるように、請求書代行サービスとか、決済代行サービスを始めて手数料を稼いだ方がいいだろう。
それに、個人とかで受けちゃうと、万一、病気とかなったら、クライアントさんに迷惑が掛かっちゃうから、万一用の保険のサービスというか、代理メンバーアサインサービスとかも必要かもしれない。これで儲けるのも手だろう。
周りのメンバーの良し悪しが、すぐに見て分かるように、レビューをまとめて、星4つとかって、HPでアップしていってもいいかもしれない。
より個人が仕事を受注できるように、個人をピックアップして、HPで紹介していったほうがいいのかもしれない。

なるほど、働き方改革って、簡単にいうと、シェアリングエコノミーのことだったんだー。
あー。会社の外と中からシェアリングエコノミーになっていく。
こうやって、世界はシェアリングエコノミーになっていく。

 

2017年もっとコミュニティじみたモノに

ガイアックスは、創業以来「Empowering the people to connect.」、つまり「脳と脳をつなげる」「人と人をつなげる」を掲げている。インターネットの登場により、テクノロジーの可能性と、僕がやりたかったこと・人生でやるべきことがリンクして生まれたミッションだ。

以来、このミッションに基づき、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー関連の事業を中心に拡大させてきた。

創業当初は、この事業分野の説明として「脳と脳をつなげる」「人と人をつなげる」事業なのです!とだけ言っても誰にも伝わらず、「ソーシャルメディア」や「シェアリングエコノミー」などの便利な単語も、もちろん存在しなかった。
そのため事業を説明するときは、まず、インターネットに2つの機能があることを伝えていた。

ひとつは、インターネットはコミュニケーションツールであるということ。電話や手紙やFAXなどと同じく、1人と1人が個別のメッセージを送り合うことが可能になる。
もうひとつは、メディアであるということ。新聞や雑誌、テレビやラジオなどのように、広く多くの方にメッセージを伝えることができる。

これら2つの機能(コミュニケーションとメディア)が重なり合うのがインターネットのスゴイところです、インターネットを通じて人と人を、脳と脳をつなげていきます、という話をしていた。ガイアックスのやっている事業分野の説明は、本当に難しかった!

当時、無理やり使っていたのは、まだ世に出てきていない「ソーシャルメディア」でも「シェアリングエコノミー」でもなく、「オンラインコミュニティ」という単語であった。人が集まるしなぁ、だから、コミュニティ?みたいな感じで使っていた。

「コミュニティ」というと、ちょっとした田舎でご年配の方々がリアルに集まるというイメージを持たれ、誤解を招きがちだったが、とはいえ、代替案はなかった。

ともかく、創業時からガイアックスはその分野に取り組んでいたのだ。

 

みなさまのご支援のおかげで、現在のガイアックスは、売上50億円を超え、関わってくださるスタッフの方は、1000人規模の会社に育ってきている。
社内SNSや、学校裏サイト対策、企業のSNS活用やコンサルティング、最近ではシェアリングエコノミーなど、ミッションに沿った事業を拡大中である。

そして、事業を拡大していくにつれ改めて思うのが「私たちは、コミュニティ作りをしているのだ」ということである。

昨晩も、「私たちの取り組んでいるシェアリングエコノミーは、マーケットプレイスなのか?コミュニティなのか?」をテーマに深夜まで議論をしていた。

まぁ外からみたら、明らかにマーケットプレイス、つまりサービスの販売なのだが、理念としては「コミュニティ」の方が当てはまる。「サービスの販売」がゴールではなく、ホストもゲストも含めた大きな人間関係を作るのがゴールなのである。長時間に及んだ議論も、「やはりコミュニティだろう」という結論に落ち着き、改めて皆でそのことを確認したのだった。

 

2017年、ガイアックスはオフィスを移転し、働く環境・組織の環境を新しく作り直すというプロジェクトに取り組んでいく。
パソコンや周辺機器などのファシリティ、空調や日差し、空間の広さや座り心地、たしかにこういうのも重要だろう。
しかし、働く環境についてとことん考えていくと、必ずと言っていいほど湧いてくる疑問が「そもそも、なぜ出社しなければならないのか」である。下手をすると、自宅の方が、作業をするには良い環境だったりする。
それでも出社する理由、それは「人は人を求めているから」だと僕は考える。

社内はもちろん、一緒に仕事をするパートナーなども含めた関係者、もっと言えば、これから関係者になるかもしれない潜在的な関係者(つまり、今日の時点でまったく会社や事業に関係のない人)と出会い、いかに交流を深めていくか、が、組織の環境作りとしても重要なテーマだ。

赤の他人も含めた、より多くの人たちと繋がっていくことで、強烈な方向性を共有したゆるやかなグループがうまれ、議論や作業に深みが増していく。そんな「コミュニティ作り」こそが、組織の環境作りなのだと、僕は確信するようになった。

 

2017年、僕は、ガイアックスは、事業としても組織の環境としても、よりコミュニティじみたモノを目指していく。