先日、unito社の取材を受けた。
東京の魅力について語る、だった。
写真も撮りたいってことで、久しぶりに、NagatachoGRiDに行っての取材。最近は、ほとんどがZoomだから、本当に珍しい。
インタビューアーの方は、素敵な女性で、「名刺作ってもらったので名刺交換させてください!」っていう感じで、元気に挨拶されてこられる。名刺作ってもらった?ん???
unitoというのは、ガイアックスも投資させてもらっているベンチャー企業。この会社のことを、ガイアックスの社外取締役の方々にも相談したら、ご相談したお二人がお二人とも、じゃぁ投資するよ、って即決下さるぐらい。なんならもっと投資してもいいから、投資枠もっとないの?ぐらいの勢い。1回、2回会ったぐらいなのに。意思決定早いなー。結果的に、ガイアックスと社外取締役の会社を足し込むと今回のラウンドにおいては、結構な投資比率を占めるという。しかも、もっと言えば、ガイアックスのOBのエンジェルの方も別で投資されると聞いているし。
unitoの事業内容は、「ホテルで住む」というサービス。なんと、ホテルを自宅にしてしまうのだ!
都心でアクセスの良いところに、ベッドやテレビなどの家具もフル装備でついていて、月額12万円とか。しかもなんと言ってもすごいのは、週末とか、年末とか、お盆の時期とか、その自宅(ホテルなのだが)に宿泊しないのであれば、その分は、月額家賃を減らしてくれるという。ともすると、都心一等地のフルサービスの自宅が、月額家賃10万円を切ったりしてくるわけだ。
使った分だけ支払うという、いわば、カーシェアみたいなものだ。
月額4万円で全国住み放題というサービスを提供しているアドレス社との相性もすごくいい。アドレスは、今は、もう全国で100箇所にまで拠点を増やしている。どこかに別荘や二拠点目の家を手に入れるうのなら、アドレスの契約をした方がいい。月額払いでいつでも辞めれるし、1箇所だけでなく全国に別荘や拠点を持てるようなものだからだ。
そして、別荘としてアドレスを使う日には、自宅をunitoにしておけば、なんとその分、自宅の家賃が減るという。なんて素晴らしいのだ。
ガイアックスは、「住空間をシェアする」というカテゴリに対して、他にも数社投資をしている。自宅の空いているスペースに下宿生を受け入れるという「Homii」というビジネスや、住む家をシェアする仲間を集めるという「ShareRo」というビジネス。行き着く果ては、なんと、「お寺」をホテルや住空間に変えて提供するという「お寺ステイ」。もう、世も末かもしれない。
僕は、シェアが大好き!シェア最高!
そのシェアの魔の手が、一般市民に取って神聖であるはずの「自宅」にも忍び寄っているのである。
思い浮かべると、20年前は、働くっていうことは、もっと固定的だった。「働く」というのは、この20年で大きく変わったのだ。
20年前は、全員が正社員だった。
それが、派遣社員さんが増え、契約社員さんが増え、インターンという謎の制度が出てきて、業務委託さんが会社のコア業務を担うようになってきている。
クラウドソーシングやオンラインアシスタントも、今や当たり前だ。
1人の単位で見ても、副業をするのが、もはや当たり前。ガイアックスの社員も副業をするだけでなく、副業で起業をしてくる人もいるし、しかもその会社からのストックオプションをもらい、そのオプションを主たるインセンティブとして副業として手伝う人も出てきている。
短時間の仕事にも革命が起きている。
今から、2時間ぐらいで、このイベント会場の机を直したい、なんて仕事の際には、スキマ時間バイトの「Timee」に頼めば、会ったこともない数人が数時間だけ仕事をしに一瞬で集まってきてくれる。
unitoの、その素敵なインタビューアーさんに、「社員さん?」って聞いたら、「いや、業務委託!」って。「フルコミット?」って聞いたら、「3社さん、お手伝いさせてもらってます!」って。
僕から、その場でその方にフィットしたガイアックスの業務をお願いすれば、すぐにその場で受けてくれるかもしれない。「働く」が流動化してしまった今、unitoのインタビューアーとして、僕に相対している彼女は、もはや、真にunitoとは言いきれないのだ。
ちょうど、僕が個人的に家の新築を検討しているという話をしたら、unitoの社長、近藤さんが、横から、「僕ら設計得意なのでやりましょうか?」とのこと。
「安いの?」と聞くと、「安いわけないじゃないですか。僕ら、いい仕事するんですから。」とのこと。ヒドイ。安くしてくれたっていいじゃないか。
仮にお願いするとして、それは、近藤氏個人で請けるのか?unito社で請けるのか?どっちなんだ?
もはや、unitoの社長の近藤氏ですら、真にunitoなのだ、とは言い切れない可能性がある。
僕たちは、20年掛けて、「働く」ということを流動化させてきた。
いろいろなことが、シェアリングエコノミーなどの産業に絡みながら、流動化されてきている。
そして、これからは、「住空間」すら、流動化していくのである。
僕は、経営コンサルティングの会社に勤めていた1年半の間、カプセルホテルで生活していた。そのあと、世では、ネットカフェ難民と呼ばれる、ある意味、自由な人たちが増え、社会現象となった。最近では、アドレスホッパーというオシャレな一般名詞が当てはめられている。
ただ、そういう一部の人にだけでなく、誰にでも、もっと普通に「住空間の流動化」が普及していく。
友達の家に呼ばれた際も、「この家、おしゃれでいいね。」「料理しやすそうなキッチンだね。」と、その家が気に入ってしまえば、「僕、この家に、半分ぐらい住もうかな。」という言葉が続く時代になるのである。
もはや、友達の家は、真に友達の家なのだ、とは言い切れない時代になるのである。