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学生の際に学生起業をするべきか、もしくは、社会人になってから起業をするべきかについてお話します。起業する際には、最終的には広い視野を持つことが大切になります。

上田祐司

株式会社ガイアックス 代表執行役
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」をミッションに、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー事業を展開。また起業家が集うスタートアップスタジオという側面も持ち、社会課題を解決するための事業づくりサポート、投資を行う。シェアリングエコノミー協会代表理事。

公式サイト: https://www.gaiax.co.jp/
Twitter: @yujiyuji

学生F

起業するにあたって、学生の間に起業するパターンと、社会人を数年経験した後に、起業するパターンがあると思うのですが、どちらがいいと思いますか?

上田

なかなかよく悩む質問で、いい質問かなという風に思います。
ちなみに今時点で柴田さんは、どちらが良いのかなと思っていらっしゃるのですか?

学生F

私は、どちらがいいのか、少し分からないのですが、早く社会に出たいというか、早く挑戦したい、という気持ちがあるので、学生起業を目指そうと考えております。

上田

恐らく、ビジネスをやってきて、たくさんの方にお会いさせて頂きましたけれども、大学1年生と社会人1年生の、実際、仕事上の攻撃力はほぼ一緒です。
そのような感じがしませんか?

学生F

はい、そうですね。
何か意識の差という感じは少しします。

上田

大学1年生で半年間働いた人の方が、社会人1年目で2ヶ月働いている人より、断然強いというか、大学4年間で何が変わるのだろうというのは、まさに僕も日々感じてきています。
そういった意味では学生で起業するのは、不可能な話ではないと思います。
ただ一番重要なのは、起業、会社を作る、会社というものは社会に役に立つ事業を提供します。
社会から必要とされる事業です。
世の中で何が必要とされていて、その必要とされているものを提供できるのか、そのためには何が必要なのか、という視点がとても大切です。
起業をすると、社員を例えば何人か雇った会社になりたいなとか、自分がたくさんの給料を欲しいなとか、何か自分がのびのびと働けると良いなとか、社会を基軸に物事を考えるのではなくて、自分もしくは自分の身近で見える範囲の物事から、事業を設計してしまうケースが多いです。
例えば、最高のメンバーが5人いて、いつも楽しく働いている、事業もうまく行っていて自分の給料も高い、何不自由なく仕事しているし、それなりにお客さんにも喜ばれている。
こういう状態になった時に、ともすると、何の疑問も抱かなかったりします。
別にそれはそれでいいです。
駄目ではないですが、本来、企業というものは社会に必要なもの、例えば、社会でお子さまをお持ちの シングルマザーのお母さんが、こういう事でとても苦しんでいらっしゃる、とか、例えば、もう引退された65歳のご高齢の方が、こういうことを苦しんでいらっしゃる。
日本中もしくは 世界のこういった地域において隅々まで、とても苦しんでいらっしゃる。
その苦しんでいることを、何とかして解決しなければならない、というのがビジネスないし事業なんです。
例えば、100万人の方にお届けしない限り、全く意味がないです。
100万人の方にお届けするには、少なくとも10億円掛かります。
では、何としてでも10億円を 集めなくてはなりません。
そういったような感覚で、物事を考えないといけません。
それと先程の自分視点で見た時の、会社がうまくいってるという状態と、世の中視点で見た時の、やるべき事をやっているかは全く違います。
このニュアンスは何となくわかりますか?

学生F

はい、わかります。

上田

この感覚を身に付けることが、大切なのですが、学生起業された方は、結構お仕事が出来る方も多いので、結果的に先程言ったような、ある程度上手になっている状況に容易になったりします。
そして、もちろん売り上げも、毎年伸ばしてはいるのですが、どちらかと言うと順調な感じで、気がつけば10年経ってしまって、社会に大きな変革を起こしているか、と言うと、別に起こしていないです。
というような形になってしまって、それでいいのですか?という気はします。
もちろん、自分で起業して、一旦、毎日忙しくて、身の回りにも課題があるけれど、それには目を瞑って、社会課題をしっかり見据えて、あるべき会社のあり方を追求しよう、という、心の強さがあればいいんですが、なかなかそうはいかないので、そういう意味では社会人も、そういった視点を持てるような会社を、選んでいくべきだと思います。
本当に世の中の課題に対して、自分たちの今の状況を顧みず、解決しに行こうとしているようなところで、社会人として経験をすれば、自ずとその後、起業する時は、そのようなスタイルで起業すると思います。
その会社が上手くいくか上手くいかないか、は、あまり関係なくて、自分視点で物事を考えるのではなくて、世の中視点で物事を考えるような、スタイルを身に着けて、そういったスタイルで起業されると思います。
それをしないと うまくいってると言えば、うまくいってるが、世の中にインパクトを与えられないような会社、になってしまうというリスクが あるのかなと思います。
では巡り巡って学生起業がNGかというと、そんなこともなくて、起業は起業で色々学べることがあるので、学生の間に起業してみてもいいと思いますし、今時は学生さんも起業に対して、抵抗感がなくなっているので、法人を作って、自分の法人で少し持っているビジネスを始めてみて、税務申告もして、隙あらば友達とかも巻き込んで、一旦やってみる。
もちろん、それなりに規模が、大きくなるようにトライもしてみる。
しかし、自分自身もう少し修行した方がいいかなと、大学卒業の時に感じることも多いと思うのですが、その時であれば遠慮なく社会人として、そういった戦っている組織に入社して、色々マインドをアップして、それからまた起業されたらいいんじゃないかな、という気がします。

学生F

なるほど、社会人では、自分視点ではなく社会視点で考えることが、学べるということですか?

上田

どの社会人も学べるとは思いませんが、そういった戦っている集団に入ると、学べると思います。
学べると言うか、それが当たり前なんだなという風に、体に染み込んでくると思います。

学生F

これは学生の間に、長期インターンなどでは学べますか?

上田

学べなくもないと思います。

学生F

こちらも行く企業によって様々という事ですか?

上田

まずはそうです。

学生F

長期インターンなど行く時に、そういった企業、就職もそうなのですが、そういった社会視点で考えられているような、企業の見分け方というか、探し方はありますか?

上田

そうですね、重要なのは、本当に学生さんではなかなか見破れません。
特に説明会を聞いただけ、もしくは面接だけでは見破れない、というのが現実です。
特に社長の話などは結構難しくて、いかにいまいちの会社でも、社長はそれなりに仕事が出来るので、学生さんぐらい騙されかねない、というのが現実です。
なので、出来れば社長さん以外の社員さん何人か、例えば1人くらいいるかもしれないですが、5人会って5人とも結構エレガントであれば、だいぶパワフルな組織かなとは思います。
そういった所を見ると、一つはチェック出来るのかなという気がします。

学生F

OB訪問などでそういった事を、自分の肌を通して感じていく、という形ですか?

上田

そうですね。もう一つは、新卒の一斉採用という枠組みは、非常にいまいちで、中で働いたことがないのに、就職してしまう、というのは、下手すると大きな時間の無駄になるので、やはりインターンとして中に入って、入ったら一週間くらいで見えてくるので、いまいちだったら、やめてしまう、というのは重要だと思います。
なので長期インターンに入ってもいいですが、入ってもいまいちだなと思ったら、すぐに辞めて別の会社に行く。
就職も内定をもらってから すぐにインターンに行って、蓋を開けてみて良くないなと思ったら、別の所から内定をもらって、別の所に行く。
そういったような姿勢が重要かなという気がします。

学生F

わかりました。
この社会視点を学べるという点で、学生と社会人とで違うと、仰られたと思うのですが、それ以外にビジネスモデルを理解しているなど、人脈があるとか、資金面での問題など、という差ではどれくらいの違いがありますか?

上田

このマインドに比べると、些細な問題かなという気はします。
やはりマインドの方が重要です。

学生F

その辺りは意識次第、マインド次第で変わってくるという事ですか?

上田

はい。もちろん色々な、テクニックとか開拓方法とか、そういったようなノウハウを知ってる方が、いいに越したことはないけれども、マインドさえあれば何とかして、そのノウハウを身につけようと思うし、逆に、だらだらした社会人になってしまって、5年も10年もその様な社会人で過ごしてしまうと、本当にだらだらした人になるので、攻めている組織の中に入って、常に戦っていたら、全く心の中の刃が丸くなっていかない のですが、普通の会社に入って、普通に社会人してたら、自分の夢とか考えない方が良い、くらいの感覚になってくるので、危険かもしれないです。
スキルは上がってもマインドが、丸まるという事です。

学生F

僕も学生起業を志した理由の一つとして、社会人になって数年働いてもいいと思ったのですが、起業に対するマインドが保てるのかどうか という部分で、今、このマインドがある時点で、先に挑戦した方がいいんじゃないかと思ったのですが、やはり数年働いた後に、マインドを保つというのは難しいと思うのですが、そのようにマインドを保てる会社などは ありますか?
その特徴などはありますか?

上田

実際、やはり入ってみないと難しいと思います。
外から判別するのはなかなか難しい、入ってみないと難しいと思います。
実際、僕は幸い、入社した時に凄くいい会社で、本当にこの人達やばいな、という、ここまでやるのかと、何と言ったらいいのか、当時株式公開まで、最短で4年か5年でした。
僕が社会人になった時に。
今は1年、2年の会社がポコポコ出てきてますが、当時は4、5年でした。
その会社はベンチャーキャピタルと言えば、ベンチャーキャピタルだし、経営コンサルティング会社といえば 経営コンサルティング会社だったのですが、10人くらいの会社に150人くらい送り込んで、日本最短の上場を、その4年を切る上場を実現させるといって、もう人も突っ込むわ、金も突っ込むわ、もう営業もめちゃくちゃ、絶対この数字を達成しないと、成長スピードが遅れることはすなわち死だ、くらいの勢いでぶわぁっとやって、実際3年ぐらいでその会社を、上場させたりしていて、やはりそれを垣間見ると、これはもう自分も何か将来商売をやりたいな、こんなマインドじゃ駄目だな、みたいな、勝てば官軍、勝たなければもう負けしかない、もう倒産しかない、会社の存続なんて断トツNO.1になること以外ないんだ、みたいな、それをもう数年でゼロから、上場まで持ち込んでいるのを見たりすると、なるほど、と思いました。

学生F

わかりました、ありがとうございます。

上田

はい、では色々な所を見に行って、いい会社を見つけてもらえたらなと思います。
今日はどうもありがとうございました。

学生F

ありがとうございました。

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