地方におけるギグワークの活用の状況や可能性についてお話します。人口が少ないからこそ、人口が少なくなってくるからこそ、地方においてギグワークを活用すべきだと考えています。
目次
上田祐司
株式会社ガイアックス 代表執行役
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」をミッションに、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー事業を展開。また起業家が集うスタートアップスタジオという側面も持ち、社会課題を解決するための事業づくりサポート、投資を行う。シェアリングエコノミー協会代表理事。
公式サイト: https://www.gaiax.co.jp/
Twitter: @yujiyuji
千葉憲子
株式会社ガイアックス 社長室 兼 Otell 事業責任者
ITシステムの営業と営業企画を経て、2018年 よりガイアックスに転職。社長秘書、社内外が交わる仕組みづくりなどの仕事を行う。また新規事業部でワーケーション関連の事業「Otell」を立ち上げ中。ガイアックスは働き方が自由な会社でもあり、リモートワークや複業も推奨されているため、仕事を続けながら地元である長野とのゆるい二拠点生活を実践。2020年5月より長野県塩尻市の特任CCO(Chief Communication Officer)を務める。
公式サイト: https://otell.jp/
Twitter: @noriko_chiba_1
本日は、ギグワーカーについて、地方での活用の余地や、地方においてどうなっているのか、という話ができれば、と思っています。
まず、憲子さんは地方でのギグワーカーに、どんなイメージを持ってらっしゃいますか?
私は、今、長野県塩尻市というところで、公務員業務委託として働いています。
それに関わるまでは、都会でしかできない働き方なのかな、と思っていたのですが、実際に関わってみると、都会にいる人たちを、オンラインでサポートしたり、意外と地方でもできることは多いな、と思うようになりました。
そうですよね。
インターネット通販とか、目の前にコンビニが三軒ある都会よりも、田舎の方が、Amazonなどで取り寄せることに、価値があります。
そういう意味では、地方でこそ インターネットのサービスの余地は、あるのかなと。
都会でももちろんありますが、 地方は地方ならではの、活用の価値があるのではと思います。
でも、まだギグワークというか、スポットで参加してもらうという概念に、たどり着いていない方は多いかなと思います。
そうですね ギグワークと言うと、横文字で、敷居が高くなるような印象がありますが、ギグワークと言えばギグワークですし、副業と言えば副業だし、なんでも屋とも、言えると思います。
都会だと、カレー専門店で朝から晩までカレーだけ、しかもチキンカレー一品で、勝負することもあり得ると思います。
例えば、離島などの、定食屋さんでは、何でも扱っている、カレーも和食も、パスタも扱っている、よく見ると水着も、浮き輪も売っていて、サーフィンボードまで貸し出しているような、お店があると思います。
地方では、そういうふうにひとつのサービス、もしくは、ひとつの本業だけで食べて行けるほど、ボリュームがありません。
そうすると、副業などを兼ね合わせていく余地というのは、時間的に余裕があるという観点でも、売上を増やすためにも、必要なのではないかという気はします。
確かにそう考えると、兼業農家とか、昔から兼業は身近にあったはずです。
副業やギグワークという、言葉がなかっただけで、昔からありましたよね。
そうですね。
都会の忙しいビジネスマンは、朝から晩まで勤めてる会社の仕事だけで、全て体力を失うので、副業どころじゃない、という感じだと思います。
例として、いくつか、サービスをご紹介させていただきます。
地方での活用の余地
ひとつは、 Gaiaxのainiというサービス。
以前はTABICAという名前でしたが、最近、ainiに名前が変わりました。
特に地方の方々が、個人で体験を提供することができるサービスです。
どちらかというと、本業でラフティングや、パラグライダーをやっている人が提供するのではなく、自分の家の畑で野菜を作っている、ような人が、うちの畑に遊びに来てください、という体験や、うちの田んぼで、トラクターに乗れる体験があるよ、とか、庭の竹林で切り出してきた竹で、流しそうめんで遊びましょう、近くの山でいっぱい虫を取りましょう、というような体験もあります。
特に、都会から、1時間半ほどで行ける地方では、こういう体験はすごく喜ばれると思いますし、そのような体験サービスがビジネスになるということが、aini(TABICA)でも、証明されている気がします。
他のプラットフォームを使って、体験を売る以外には、例えば、どのようなサービスがあるのですか?
そうですね。
基本的には、 民泊がベースにあると思います。
やはり、民泊は金額も大きいです。
お客さんを1人入れるだけで、1人5000円、3人1万5000円を、一泊二日でもらえたりしますので、民泊はアリかなと。
あと、我々が関連しているところでは、OTERA STAY。
田舎のお寺や神社に、宿坊するような形で泊まる、というサービスを提供しています。
それ(宿坊)がうけているところは、あるかと思います。
そういうスペースが結構ある場合は、泊まるだけではなく、そのスペースを活用して、スペースマーケットさんなどで、ビジネス用の、オフサイトミーティング用の場所として、提供したり、そこまで大きなスペースを持っていない場合は、小さなイベント用として、週末にバーベキューをやる場所の提供、という感じで、場所提供という、稼ぎ方もあるかと思います。
ありがとうございます。
ainiも民泊も、実際にある遊休資産であったり自分の能力を、来てもらう方に売る、提供するというかたちだと思います。
他にも、例えば今だとリモートワークが進んで、住んでいる地域が、あまり関係がなくなってきている 仕事もあると思いますが、そういうところでも活用できますか?
最初に 憲子さんがおっしゃった通り、地方の会社や行政が、都会の方に手伝ってもらうこともできます。
どちらかというと、それよりも、都会でたくさん仕事があって、人手が足りないところで、生活費の安い地方から「僕、働きますよ」って、オンラインで働くというケースが、非常にオイシイ働き方かな、と思っています。
オンラインでの働き方も、いろいろバリエーションがあります。
皆さんは、高いスキルを持ったプロじゃないと、なかなかオンラインで働けないのでは?
という印象を持っているかもしれません。
確かに一昔前は、クラウドソーシングという名のもとに、例えば、ロゴを作るコンペで、日本中で一番気に入られた人が仕事を受ける、みたいな、ある程度スキルがないとできないものもありました。
そういうスキルが必要なものも 引き続き伸びていますが、別のかたちで出てきているのが、オンラインアシスタントと呼ばれる業界です。
いわゆる秘書さん。
Gaiaxでもよく利用していますが、秘書さんや一般職の方がやってくださるような、お仕事を、オンライン経由で、地方に住んでらっしゃる方に頼むことができます。
どんな方に、どんな仕事を頼めるかというと、デザインのスキルがある人とかではなく、昔、会社で、一般職のお仕事をしていた方や秘書の経験がある方に、スケジューリングやレストランの予約、会議の調整や議事録作成、小さい提案書の作成や、作られた提案書を、見栄えの良い形に変えるなど、アシスタント的な、お仕事も結構できるかと思います。
そういう仕事は、単発で仕事をしているのではなく、週に例えば、10時間、20時間程度で、3カ月、半年、2年、3年と、継続的な関係の中でやっていきます。
ギグと言うほど、ギグ(一時的)ではありませんが、オンラインで働く第一歩としては、すごくイメージしやすいギグワーカーかつ、オンラインワーカーではないでしょうか。
確かにそうですね。
私も一緒に働いている方は、実は一度もお会いしていないメンバーばかりで、皆さん、海外や九州にいらっしゃったりします。
それでも円滑に回っていく仕組みが整ってきたので、全く問題ありません。
あと、ギグワークって、専業でやっている方というイメージがありましたが、そうではなく、本業のお仕事をしながら副業でやったり、それこそ実家で農業をやりながら、たまにオンラインで仕事したり。
そういう働き方も含めて、ギグワークという世界なのかもしれないですね。
東京に住んでいた人が地方移住して 仕事をしたりするぐらいなので、今日時点で地方にいらっしゃる方にも、チャンスがある状況になっていると思いますね。
ギグワークがもっと進んでいくことで、地方での仕事がもっとやりやすくなったり、地方での展望がもっと開けていく感じでしょうか?
そうですね。
これまでなかったところが急に広がっているので、非常にチャンスがあると思います。
ありがとうございます。
では、今日はギグワーカー、ギグワークの地方での活用ということで お話をお聞きしました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。