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最近のニュースから。

JR東役員らに57億賠償請求=超過取水で株主代表訴訟-東京地裁
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011120500340

 JR東日本が新潟県内の信濃川で水力発電用の水を超過取水し、水利権を取り消された問題で、同社の株主3人が5日、会社に損害を与えたとして経営陣ら20人を相手に、計57億円の賠償を求める株主代表訴訟を東京地裁に起こした。

法律違反なのだから、ということで、その法人の役員に対して株主が代表訴訟をするのは、至極まっとうな気がする。

しかしながら、JR東日本クラスの大きな会社で、どこまで役員がこの不正に関与していたのか、というと、とてもじゃないが、そこまで関与しているとは思えない。オリンパスのケースにおいて日本の役員陣が知らなかった、、とは思えないが、この程度の不正であれば、役員会のメンバーに事前に裏でコンセンサスを取るほどのことでもないし、また、部長クラスの暴走で、担当役員クラスですら、知らなかったということもありえると思う。

もちろん、役員として、こういった不正が発生しないように、社内に対する監査体制やガバナンス体制を作ることは大切だと思うが、作ったところで、時々はこういう漏れも発生して、不正も発生することがあるだろう。そして、この責任を役員個人が背負うということも、ケースによってや裁判によっては、発生してくると思う。少なくとも、株主代表訴訟、つまり法人が役員個人を訴えている形なので、一時的には、少なくとも、法人ではなく個人としてこの裁判を受けなければならず、場合によっては弁護士費用なども発生してくる。

敗訴の場合においても、裁判で役員個人の資産状況や報酬状況を考慮して、損害額の着地をしてくれたらいいが、そういうのを考慮してもらえないだろうし、即個人破産になることもあるだろう。

個人的には、「売上規模の大きな会社の役員において、自分自身が不正を行わない場合によっても、こういう大きなリスクが乗っかってくる」という事自体は、賛成だが、それに相対する形で、役員報酬額は欧米レベルぐらいに上げていかなければならないと考える。

売上で兆を超えるクラスの役員の報酬が年間数千万円の下の方って、いうのは、あまりにグローバルスタンダードから乖離しているし、本件のような事例が増えれば増えるほど、アンバランス感が増大すると思う。

結局、大手企業における役員は、「サラリーマンの延長」という位置づけで社内コンセンサスを取れているが、訴訟されることも含めて、社会全体でコンセンサスを取れているのか、というと、そうではないのだろう。

「サラリーマンの延長」として、位置づけられ、報酬額も普通のサラリーマンの数倍程度まで、でコントロールされている社会と、欧米のようなケタ違いの報酬をもらいつつプロ経営者として業務執行する社会と、どちらの社会が幸せな社会か分からないけれど、「株主代表訴訟をしてくる普通の一般投資家」は、あくまで「兆の規模の会社の経営を責任持って業務執行している人」として接してきているので、そこにずれがあるのだろうと思うし、結論的には、そういう社会になっていくのだと思う。

ケタ違いの報酬をもらいつつ、無事、引退をしたら、その多くのお金を、税金で取られるなり寄付をするなりをして、余ったものは適切に社会にお返しするぐらいの文化が、一番良いなぁと思う。

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