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東電さんの値上げって、政府支援機構は知らない話だったんだ。
あまりコンセンサスを取られていない感じなのか。

東京電力:不意打ち値上げ、政府支援機構が怒り(毎日jp)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120129k0000e010104000c.html

 「我々を無視しておいて、こんな値上げを許すわけにはいかない」。東京電力が企業向け電気料金平均17%値上げを発表してから1週間後の今月24ni、政府の原子力損害賠償支援機構が入居する東京・虎ノ門のビル。機構側が急きょ呼び出した常務クラスら東電幹部6人を前に、運営委員4人が怒りをぶちまけた。

企業向け料金は、90年代後半からの電力の部分自由化を受け、東電が顧客と個別交渉で決める仕組みとなったが、同じ地域で大規模な発電をできる電力会社はなく「東電の言い値で決まる」(機構幹部)のが実態。政府の有識者会議で料金体系の抜本見直しが進むが、結論は出ていない。

 政府は1兆円規模の公的資本注入で実質国有化し、経営権を掌握して「東電解体」と抜本的な電力自由化を狙う。東電の強硬姿勢は、これを阻み、主導権を維持して経営再建にこぎつけたい東電側の生き残り策でもある。

結論的には、事故があったものの、会社や経営陣にプレッシャーを掛けるのは、大変なのだろうなぁ。

(1)倒産しない限り、債権者は、会社や経営陣にプレッシャーを掛けれない。

一般的に、倒産や債務超過などの緊急事態では、意思決定権が、株主から債権者に移り、債権者が経営陣にプレッシャーを掛けクビにする。(債権者の意思決定で必ずしもクビにする必要はないと思う。)

事故を受けての第一印象は、倒産するのかも&株券も価値がなくなるのかもと思った。が、さすがは東電さん、純資産が厚く、そこまでじゃない様子。今回の事故を経ても、ギリギリ純資産が持ちうる状態ではある。事故前は純資産が3兆円あり、それが今、1兆円まで減っている。損害賠償をどこまで背負うのか知らないが、一定程度、会計上は織り込んでいるのだろうと思う。つまり、債務超過でもないわけで、(一定の支援が必要かもしれないが、)資金繰りも続きうる状態なのだろう。

倒産しない以上、債権者(たとえば金融機関や資金繰りを支援している組織)や資金繰りを支援している政府関係が、その企業や経営陣に対してプレッシャーを掛けることができない。(ちなみに、一般的に、債権者は、メインバンクなどでかなりのボリュームを占め、株主よりも分散されていず、意思決定もスムースである。)

(2)株主は、大株主が居ないので、事実上、経営陣にプレッシャーを掛けれない。

ということは、普通どおり、株主からのプレッシャーを受けるだけだ。
ただし、一般大手企業や東電さんの場合、大株主がいるわけではない。ある意味、大株主が居ない、というのは、株式を独占されていない状態であるということ。
株主側が独占されている方が(=大株主がいるほうが)、経営陣に対するプレッシャーは発生しやすい。20%持っている株主が数社あるとしたら、それらの株主がタッグを組むことも考えられるだろうし、かなりのプレッシャーを掛けうる。ところが、最大でも2~3%で、末端の株主までいれると千人とか、1万人とかに分かれているとなると、意思決定構造がバラバラなので、正直言って、プレッシャーの掛けようがない。全株主が「ちょっとなんだかなぁ」と思ったところで、一体、「誰がどう音頭を取るのだ!」という感じである。

政府も出るに出れず、という感じなのだろう。
まとまりにくいとは思うが、電力を購入している法人/個人顧客にも、賠償されるべき被災者の方にも、債権者や株主、また東電さん自身にも、良い形でまとまって欲しい。

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