これから来るだろう事業カテゴリやビジネスはどのようなものか、についてお話します。学生さんからいただいた質問に回答する形になっています。
上田祐司
株式会社ガイアックス 代表執行役
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」をミッションに、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー事業を展開。また起業家が集うスタートアップスタジオという側面も持ち、社会課題を解決するための事業づくりサポート、投資を行う。シェアリングエコノミー協会代表理事。
公式サイト: https://www.gaiax.co.jp/
Twitter: @yujiyuji
これから来る事業カテゴリやビジネスは?
これから来るであろう 事業カテゴリや、ビジネスについてお伺いします。
はい。
上田さんが思う 今後来るであろうビジネスというのは、何か予想されていることなどはありますか?
それは起業するときに、これから来る事業カテゴリや、ビジネスが何かという、質問でよろしいですか?
そうですね 起業する上でということです。
まずそこからお話しします。
起業する人には、いくつかタイプがあると思うんです。
何かをつくり上げること自体が、面白いと感じる人や、自分の原体験、例えば、僕の知り合いのハーフの女性は、国家間にある偏見的なところを、もっと何とかしたいと、そこを何とかするのは私の使命だと、思ってらっしゃいます。
そのような原体験から出てくる解決すべき、課題を何とかする人や、ビジネスで勝ち上がることが、すごく重要だと思っている人など、本当にいろんなタイプがあるんですよね。
これから来る事業カテゴリやビジネスをチョイスして、そのビジネスを選択して、そのビジネスで勝ち上がっていくことは、結構好戦的な、勝ち上がりたいというような、タイプの方には向いていると思います。
自分が一体どういうタイプなのか ということを考えた上で、そういう思考で入っていった方がいいとは思います。
これから来るであろうものを予想するよりは、自分が持っている疑問や、自分がやりたいことを中心に、やったほうが成功できるということですか?
もちろん、何もやったことがないと、自分がどんなタイプかも分からないと思います。
例えばうちの会社でもある新規事業を立ち上げて、結構立ち上がったところで「抜けます」と言われました。
「え?これからなのに」と言ったら、「どんどん新規事業立ち上げるのが 好きなんですよね、僕」と。
次から次へと立ち上げる人もいます。
他にも、自分の原体験に基づいてこのカテゴリでやる人。
「こっちのビジネスもやらない?」と言っても、「いや、興味ないです。 マーケットが大きかろうが小さかろうが、僕の興味のある範囲じゃないと やる気がしないので」という人もいれば、事業ジャンルはどこでもいいです、やっぱりやる以上は、勝ち上がれるカテゴリで やりたいんですという人もいます。
なるほど。
それがまず必要かなと思います。
話を続けます。
ちなみに、これから来る事業カテゴリや、ビジネスというのは誰でも当てることができます。
これからいつか挙げることができますし、視聴者の皆さまも当てられます。
コロナの状況などもあって、例えば今だったらフードデリバリーサービスが、ここ1~2年で すごく伸びている業界だと思います。
その1~2年前に、コロナの状況だから、新しくこういうことやろうと考えた人がいて、今この状況で、例えば上田さんが、今から何か始めるとしたら、どんな業界でやろうと思いますか?
今の上田さんだったら。
例えば、AIやITが今すごい伸びてる業界だと思いますが、今から始めるとしたら上田さんだったらどう考えますか?
そうですね 例えばAIやIoT、もう少し違う観点であればSDGsなどですね。
なるほど。
日本は、すごい課題先行社会というか、高齢者の増加や地方が廃れていくなど、そういうような環境にあるわけなんですよね。
今挙げたようなものが来るか来ないか、 絶対来るんですよ。
例えば、AIが来ると言っていて、来ないわけがありません。
全ての産業がAIを掛け合わせて 1個ずつチェックしていったら、いくらでもビジネスアイデアが思いつきます。
5年から15年ぐらいの間で、おそらくそれが実装されていくので、来るかどうかでいうと絶対に来るんですよ。
問題は、来るとして、どのソリューションなのかということと、適切なソリューションを選択できたとして、その適切なソリューションを提供している、競合他社と戦った挙句、勝てるかどうか、という、そちらの二つの方が問われるんです。
なるほど 戦略の方が大事ということですか?
絶対に重要 経営力が重要です。
アイデアだけ思いつきましたというような人は 全く怖くありません。
経営力がある人が動いてくると非常に怖い。
「やばい、来たか」という感じです。
なるほど。
タイムマシン経営という言葉を 聞いたことはありますか?
先進国であるアメリカなどで流行っているサービスを、日本に持ちこんでくるというものです。
それなどは全くアイデア力がないわけです。
そうですね。
その中で勝ち上がれるかどうかは別ですよね。
なるほど ありがとうございます。
ですので、今後来るマーケットだけを考えるより、やっぱり自分の原体験や自分の強み、自分がすごく興味ある分野などを、掛け合わせていかないといけません。
よほどのプロ経営者だったら、別にどんなカテゴリも興味はないけれども、やったら勝ち上がれますから、というような、そういうプロ経営者だったら、まさにこの質問に則った通りのカテゴリで、攻め上がればいいと思います。
まだ経験が豊かでない人の場合は、より自分の強みやこだわりを掛け合わさないと、勝てる確率が減るような気がしますね。
なるほど。
来るカテゴリーや来る傾向は、まともな人間だったら間違いありません。
AIと言いましたが、AIとまではいかなくても、例えばペーパーを使っている場合。
3~5年後くらいには 確実にペーパーレスになるので、ペーパーレスを掛け合わせると、すごく便利な環境をつくれる状況が 間違いなく来ます。
もちろん、仕上がりの事業サイズなどの問題はありますが、いったん気にしなくてもいいのではないかと思います。
はい ありがとうございます。
具体的に経営力というのは、どんな力なのかという質問と、プロの経営者は他の経営者と比べて、どんな違いがあるのかという質問です。
はい そうですね。
まず、経営というのは、ステークホルダーとの関係性なんですね。
ステークホルダーというのは、お客さんや株主、債権者やお金を貸す銀行、働く人やパートナーというような、そういう人との関係性なんですよね 分かります?
事業というのは、いろんな人との関係性の中で生まれてくるんですよ。
例えば優秀な経営者だからといって、人に比べて、腕力が50倍あります、 などということはありませんよね。
ないですね。
起きてる時間もほとんど一緒ですし、1分間に話せる日本語もほぼ同じです。
ほとんど人の能力は変わらないわけですよ。
人の現実的な能力は変わらないんです。
何が違うかといったら 事業とはいったい何かというと、たくさんの人が働いていて、たくさんのお金を調達し、たくさんのお金を運用して、たくさんのお客さんがいて、そして、たくさんの提携企業がいてという、そういう関係性の問題なんですよね。
そこまでは大丈夫ですか?
はい 大丈夫です。
世の中の経営者の多くは、既存事業の経営者なんですよ。
既存事業と新規事業は全く違います。
既存事業の経営者が、必ずしも新規事情の経営者ができるとは限らなくて、全く別なんですね。
既存事業の経営者は何をしてるかというと、いろんなステークホルダーの バランスを取っているだけなんです。
はい。
給料を上げ過ぎて、株主の配当が減り過ぎかなとか、お客さんに安売りし過ぎて 今期利益が減っちゃうなとか、そういうバランスを取っているだけです。
こちらのお客さんの方が重要だから こちらのお客さんをもっと強化しようとか。
とにかく何かが成り立っているわけですよ。
何かが成り立っているというのは分かります?
何かが成り立って・・・
何かが成り立っている。
お客さんがあるサービスにお金を払って、そのお金のうちの一部を本社ポストで使って、そのまた一部を従業員に払って、従業員さんがサービスを提供して お客さんが満足して、それで利益が出て配当を渡せるという、なんらかのバランスが成り立って、 くるくる回ってるんですよ。
その回っているところが崩れそうになるのを、上手に調整するというのが、既存事業の経営者なんです。
なるほど 分かります。
既存事業、例えば1万人の従業員が働いている 会社の社長だからといって、すごく特殊なスキルが、必要なわけではありません。
毎年の傾向を見て、状況を見ながら、適当な手を打てばいいだけです。
1万人の会社の社長だからといって、人より1万倍しゃべるスピードが、速くないといけないということはありません。
はい。
次に新規事業の話をします。
新規事業というのはもしかしたら、こういう空間に、こういうかたちの、 こういう事業が、成り立つのではないかという、仮定を置いて、それを一気に作り上げにいくのが 新規事業の経営者なんですよ。
新しいものをつくるという意味で、ですよね?
そうですね 新しいものをつくるといえばそうなのですが、ステークホルダーとの関係性でいうと、例えば、ある村があって、村の真ん中に川があります。
腰まである川。
分かります? どうしたらいいと思いますか?
橋を造るとか。
そうですよね でも、橋を造るといっても、横幅が50メーターぐらいあるので大変です。
じゃあどうしますか?
安全面ということですか?それとも・・・
どうやって橋を造るか。
週末に頑張れば 橋を造れるような感じではないんです。
まず人を集めます。
そうですよね。人にコストを払うとしたら そのお金をどうしたらいいですか?
何か別の手段で、お金をまずは作って、人を集めて橋を造る、ですか?
そうです その通りです。
別の手段というのは後払いになります。
ノリで言うと、資金が入ってくるタイミングを融通するのが、融資なんですよね ファイナンス。
橋を造ります。
橋ができたら通行料取ります。
そうすると、これだけ売上が上がります。
だから、先にお金を出してくれる人はいませんか、と。
なるほど。
例えば、株式会社橋とかをつくるわけですよ。
ブリッジコーポレーションでもいいです。
こういう仕上がりを見せて、きっとこれでバランスするはずだと。
工賃がいくらかかって、通行料がこれぐらい取れて、これぐらい利回りを払えて、これぐらいお金がかかるはずだというのを構想して、えいって立ち上げるわけですよ。分かります?
はい。
その構想力や、ステークホルダーへ説得できるか、少々予定どおりのことができないときに、二の矢、三の矢を繰り出して、なんとかごまかして行くのか、など、そういうことができるかどうかです。
そういう対応力やコミュニケーション能力が、経営者としての力になっていくんですね。
そうです。
なるほど。
村にある幅50メートルの、川の話をしましたが、全く同じように、中国地方と四国地方を つなげる橋についても考えられます。
なるほど。
数百億かもしれませんが、説得さえできれば、その起業家の元手は、0円でいいわけです。分かります?
はい。
起業家がスペシャルじゃないと言っていますが、スペシャルじゃないことのひとつとして、起業家がお金持ちである必要性は全くないです。
全然お金なんかなくたっていいわけです。
なるほど いろんな手段、 例えばクラウドファンディングなど、そういう手段を使う力であったり、人を呼ぶ力というのが、必要とされる力なんですね。
そうですね。
そういうステークホルダーを 巻き込んでいく力が必要です。
ありがとうございます。