就活生からの質問

今年も、採用活動を振り返り、来期の採用施策を練るシーズンになってきた。

就活生の方からの多かった質問。
キャリアパスにおいて、外資コンサルや外資投資銀行からスタートしたほうがいいか、ベンチャーからスタートしたほうが良いか、どちらがおすすめなのか?メリデメは?
しっかりと就活を捉えて、優秀な学生さんであれば、持つべき疑問である。
ただ、今、僕が学生なら、ソーシャルメディアのもっとも濃いところに、身を置く。
今、その基準以外の基準は、正直、無い。
もちろん、外資コンサルや外資投資銀行に入社することはない。そんな資本主義資本主義したところに。
ソーシャルメディア。ソーシャル、オープン、シェア、フリー。革命が起こっているこの場所に身を置きたい。

地球が一つの生命体であることを認識するために、もっとも大切な概念である「社会とのコミュニケーション」。
つまりソーシャルメディア。こんな面白くて濃いものがあるのに、そこに住まないなんて。

誤解無きよう言っておくと、僕は、資本主義社会が好きだ。
パズルをやり始めると辞められないのと同等に、資本主義社会の仕組みが好きで考え始めると止まらない。
資本主義社会で僕の好きなものを挙げていくときりがない。

以下、マイフェイバリット。

・ EVA
EVAの概念の美しさ。美しくてキラキラしている。きゃりーぱみゅぱみゅのよう。
利益や、ROI(投下資本利益率)でもなく、EVA。なんておしゃれでスマートな概念なんだろう。

・ ノート
ベンチャーファイナンスにおける「ノート」や「ディスカウントやキャップ付き転換社債」の存在。
まるで、はちみつ入りグリーンマンゴージュースのような感じ。
つい飲みたくなってしまう絶妙な甘さに、にやりとする酸っぱさを併せ持つ。

・ ガバナンスの設計
特に日米のガバナンス設計の違いとメリデメを考えるのは、USのドラマの「ウォーキングデッド」と、日本の山本直樹の漫画を読み比べるよう。ガバナンスをすり抜けて発生する各国の不祥事のモラルの無さ加減と言ったら、それはもう。面白すぎて仕事ができない。

・ BS
今まさに、PL(損益計算書)中心の世の中がBS(貸借対照表)中心の世の中に変わっていく様子。
密室型政治から、小泉元首相や橋下市長のような劇場型政治が生まれて成長していく世の中が、面白いのと同等に面白い。

 

あー。資本主義ラブ!
経営学とか、ファイナンス理論とかって、心安らぐよね。

でも、言っても、それはパズルとしての面白さ。
しかも、最近、そのパズルとしての面白さの源泉である「イノベーション」が少ない。
ファイナンス系でのイノベーションの頻発度合いが、ここ5年とかかなり減っているのではないか。
もはやコモディティ化している感じ。
しかも、エッセンスが、すでに本になっている感じ。本て。本てすごいよな。いいよな、本で読めるって。
ファイナンス系のブログを読んでいても、読んでてニヤリとするようなエントリーや、最先端でイカれた考え方に出会えることは滅多にない。
コモディティ化している=すぐに身に付けれちゃう。おおよそのところまでは、比較的簡単に学べるだろう。

きっと15~20年前は違っただろう。多くのインベーションがあり、ホットな業界だったはずだ。
ただ、今の時代であれば、これに、僕の時間の多くを割くことはできない。僕はそんな価値を感じない。

それに比べてソーシャルメディアの面白さ。難しさ。ハチャメチャさ。イノベーションの多さ。
まったく整理整頓されておらず、日々、変化している。そして、重要性が増している。

事例を2つ。
1つ目は、百科事典の事例。

昔、僕は、学生時代、ブリタニカという百科事典で有名な会社で働いていた。
何百年も続く優良企業だったが、大学を卒業してしばらく後、倒産しちゃっていた。
倒産の要因は、百科事典をCD-ROMに収めたマイクロソフト社に潰されたようなもの。
こういった時代の変化については、経済誌も追いかけていた。
「本からマルチメディアへ」という変化の分析や、コンテンツの複製による低価格化や、もっと言えば「複雑系」とかっていうトレンドで、有名な経済コンサルタントとかが分析もされていた。

しかし、いまは、もはや辞典は、Wikipediaに。
Wikipediaは収益モデルはない。寄付をしてもらって運営している。
Wikipediaについて、経済誌は何も言わない。経営的な分析もされない。
もはや売上が0に果てしなく近いからだ。
経営学的には、Wikipediaの存在は、もうその範疇から外れたのだろう。
当たり前だが、GDPの指標の欄外でもある。でもそれが何なんだ。

Wikipediaの素晴らしさ。
ブリタニカの百科事典は高かった。セットで50万円とか100万円していた。
当時、知識が一番大切だと思っていたし、その知識の宝庫である百科事典をリビングに置くことが、家族や子供の教育上もっとも大切であると思っていた。
でも、お金持ちしかそれができない。お金がないと良質な書籍をリビングに並べられない。子供の時期や成長期に知識を蓄えないとその後に活躍しにくい。学習環境を用意できないために発生する「貧困の世代間遺伝」ほど悲しいことはない。

Wikipediaは、その知識の宝庫を誰にでも、貧富の差を飛び越えて、世界中に、多様な言語でお届けしている。
なんて素晴らしいことなのだ。涙が出てきそう。

人としての生きがいは、いったい何なのだろう。
収益を上げることなのか?収益を上げる仕事をすることなのか?
いや、違う。社会の役に立つことだろう。
えてして社会に役に立つことをすれば、収益がついてくる。
でも、Wikipediaのようについて来ないケースもある。でも、それがなんなのだ。
人としての生きがいにおいてなんら影響を与えない。

Wikipediaの中の人として、働いている人のことは、一人として僕は知らない。
ただ、間違いなく、誇りを持って、自分の行なっているプロジェクトの社会へのインパクトに興奮しながら、素晴らしく生きていることは間違いない。まさに生きている。
仕事に優劣をつけるわけではないが、とは言っても、こんな価値のある仕事はまずない。売上が0だが。

そんな人として根源的な部分で、且つ、謎っぽいジャンルに対して、経営やファイナンスやコンサルティングの世界からではアプローチしてこない。
アプローチすることはできない。謎すぎて難しすぎるからだ。
やはりこのジャンルは、ソーシャルメディアの業界がアプローチするのである。

2つ目は、車の事例。

海外では、C2C(個人間で貸し借りするタイプ)のカーシェアリングが普及している。
日本のカーシェアリングは、大手企業である三井物産などが車を所有し、消費者が借りているが、諸外国では、もちろんそういうスタイルもあるし、それ以外にも、自分の車をシェアリングしたり、ヒッチハイク的に移動において、同乗者を募り一緒に移動したりするサービスが普及している。
これは云わば、新しいコミュニティだしソーシャルサービスである。

これは新しいルールだ。新しいエコシステムだ。
当たり前だが、無駄がなく、全員および地球にとって効率的で、ハッピーである。

発展途上国では、固定電話は普及していない。
先進国は、固定電話が普及した後に携帯電話が普及したため、両方が存在するが、携帯電話という新しいルール、新しいエコシステムのほうが優れているため、携帯電話というシステムができあがった後に、購買力の上がった途上国では、携帯電話だけが普及している。

車メーカーは、まさに資本主義の中心的存在である。
それらの世界の車メーカーは、先進国での販売台数の大幅積み上げよりも、途上国での台数増を期待し、そして、計画している。そのような社会にしようとしている。

携帯電話と同様に、発展途上国において、「カーシェアリング」が新しいルール、新しいエコシステムとして普及したら、おそらく、今後の車の販売台数に大きなインパクトを与えるだろう。
競合が1社増えたとか増えていないとかというレベルではなく。

現に、ぼくの住んでいるマンションの駐車場には、常に半分以上の車が止まっている。
本当に意味が分からない。非効率極まりない。

資本主義の中心的存在である自動車産業が、こういう謎っぽい、わけのわからない、シェアリングに、大きくインパクトを受けるのである。
そのシェアリングのマッチングをやっている会社の売上など、たいしたことはない。
おそらく車メーカーの売上の1万分の1とかだろう。(利益率は高いだろうが。)
ただ、その会社の提供するサービスによって、もしかしたら自動車メーカーの売上が半減する可能性があるのだ。

「生産する車の台数が半減すること」は、地球に優しく、そして利用者に優しく、全員にハッピーである。
巡り巡って、車業界にとってもプラスなはずである。

車の生産台数を半減させることを行う事業なんて、なんて素晴らしいのだ。
売上でもなく、消費でもなく、所有でもなく。
そして、僕が僕の妻や子供と一緒に車に乗るように、赤の他人と一緒に車に乗る。
こんなにやりがいのある仕事はないだろう。

そして、素晴らしくやりがいのあるこの仕事には、販売や消費や所有のためのマーケティングでは、アプローチできない。売上増や利益増のための組織システムでは、アプローチできない。
ソーシャルメディアの業界がアプローチするのである。

社会人として、たしなみとして、常識として、ファイナンスも経営も、高いレベルで習得すべきだ。
ただ、その業界にどっぷり入って学ばなければ学べないレベルではない。
15年前にその業界に就職された先人たちのおかげで、コモディティ化しているからだ。
ただ、ソーシャルメディアな感覚は、今日時点で、急激に重要性が上がっているにも関わらず、まったく整理整頓できていない。もちろん、本にもなっていない。謎だらけで、そして、面白い。

僕が今、学生なら、迷いなく、ソーシャルメディアの業界に住み込むだろう。
(うそ。だいぶ迷うだろうな。普通に。)

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