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昨年、ガイアックスの若手社員3名とその友人の方々が、スマートロックのサービスの「アケルン」を提供するフォトシンスという会社を創業された。

ガイアックスの社員さんは、優秀な方が多いが、その中でも、その若手正社員の3名は、かなり優秀なメンバーであった。(優秀の定義が難しいけど。簡単に言うと、一緒にいてワクワク、ドキドキする人。僕は、いつもそういう形で優秀な人に囲まれるのが幸せ。もっともっとそうなっていきたい!)
特に社長の河瀬さんのストレングスである突破能力の異常なる高さ。あの突破能力は、ガイアックスの現在・過去の中でもトップクラス。
そういう優秀な社員さん3人が、一部、2014年の年末まで兼業状態であったが、フォトシンスに集中するということで、とうとう退職してしまった。

 

世の中に、「会社」と「個人」に分類した場合、「会社」に対して「個人」が強い世の中に変わってきている。ここ最近は、本当に、個人が強い。会社など、いわばカス扱いされていて。なかなかバリューを発揮できない。昔は違ったのにー。
作り上げた事業においては、会社の立場はもちろん強いのだが、特に事業の初期フェーズにおいては、「どうやって会社としてが価値を発揮するのか。」は、難問になりつつある。昔はここまで難しくなかったのにー。
ここまで来ると、会社の価値ってなんだろうかと思わざるを得ない。もちろん、価値を作るべく会社代表としてがんばるつもりだが。

 

優秀な個人が居て、アイデアベースで何かビジネスをしようかなとなった場合、お金がなかったりする。
お金が必要=会社やベンチャーキャピタルの出番である。
会社やベンチャーキャピタルが居て、投資をする。
残念ながら、時代の流れと共に、すぐに高い時価総額になっている。

個人は、ノーリスクでハイリターン。
会社やベンチャーキャピタルは、ハイリスクでミドルリターン。持分比率考えても。(数億円の価値をつけて数千万円出して数%の持分とか。まぁよくある。)
でも、それが市場だし、それが妥当であろうとは思う。が、あまりにヒドイ。なぜこんな扱いをされるのだろう。

 

今回の件でも、そのフォトシンスさんに、ガイアックス出身者の構成比率が半分近い会社なので、ガイアックスとしては、出身者支援ということで、また、彼らの優秀さを知っているので、昨年の設立時に投資を検討をした。出資前提で、けっこうな価値算定をしたつもりでもある。
しかしながら、他のベンチャーキャピタルさんが、すぐに当社の倍の価値の時価総額をつけてこられた。(まぁガイアックスは、1年間の全体での投資金額としても年間数千万円〜2億円程度だし。そこまで高値を追えない。)
結局、フォトシンス側で、半分の株価なのに、ガイアックスを優先して頂き、ガイアックスが出資をすることになった。

一般的には美談であり、僕としてはフォトシンスに感謝している。河瀬さんに無理を言ったなぁって思ってる。どう考えても、フォトシンス社内での調整は大変だったんだろうと思う。
とはいえ、一方、ガイアックスとしてもこのバリエーションがいっぱいいっぱいなのである。ガイアックス社内からは、「美味しい出資をしたな」ではなく、「ストライクゾーン、高めいっぱいギリギリのボールだな」としか見えないのである。
うーん、ともかく辛い。

(ちなみに、フォトシンスさん、河瀬さんには、あまり言いたくないが、結果的には、投資してから数ヶ月が経過している中で、フォトシンスさんの快進撃を見る限り、幸いなことに、当時の価値で言って、ガイアックスのバリエーションが間違いで、ベンチャーキャピタルさんのバリエーションが正しかったような。あら。何よりジョインされている元ガイアックスメンバー以外の方々ともお話させてもらっているが、そのメンバーも含めてかなり強い。結局は、事業は、人の力だから。)

 

僕の周りは、こういう話しだらけである。会社としては、投資家としては、辛い。本当にヒドイ世の中である。
ヒドイなと思った時には、どうしたらいいのか。

元の良い状態に戻ると信じて、そちらに賭けていくのか。
いや、ヒドイなと思った時には、ますますヒドくなる方向に賭けるべきだと思うのが、僕の信条でもある。
(実際に高値で出資するということではない。あくまで投資時の価値算定については、ガイアックスが独自に考える基準は守る。)
でも、個人が強すぎる世の中になってきている中で、より個人を強くしていく動きをする。

ついては、投資家に対して、どういう個人が強いのか?
その嫌な感じの、手強い感じの個人って誰だ?どういうのだ?

手強い感じの個人になるように、ちゃんとした教育がなされる方がいい。
ファイナンスであったり、経営であったり、事業立ち上げであったり。
交渉相手である「投資家」「会社」側の手を知り尽くしているほうがいい。
ついては、採用も重要だが、その後、本人たちがこれらを学べる環境も重要。

ガイアックスでも、メンバーのしたい職種やしたい業種を作っていくのが大切だと思っている。
ガイアックス社内でも、一定規模の事業や組織運営というより、事業立ち上げや起業にフォーカスしてそういう専門的な仕事をやりたい人もいる。もちろん全メンバーではなく、メンバーの内の何割かぐらいの比率だとは思うけれど。
その専門的なスキルを重点的に伸ばせるような学習環境が、もちろん今日時点でもすでにそこそこあるとは思うが、もっともっと作らねばと思う。

 

結局、「個人」が強くなってきている世の中で、この傾向は変わらない。
嘆いてるのではなく、この波に乗るようにしないと。
僕たちと関わっていく人のうち、そういう志向がある人には、みんなそういう人になれるように。
それが僕たちの貢献なんだろうなと思う。

場合によれば、交渉先にもなりうる人に、交渉のノウハウをつけていく。
それがどう利益につながっていくのか。
個人が強くなると、ガイアックスが投資をさせてもらえなくなるのではないか?
ここをしっかりデザインすることが、まさにミソなのである。
そこが経営手腕の見せ所なのである。

 

で、
まさに、そこが、うーん、でも、やっぱり、よく分からない。何か良い方法が思いつかない。
でも、きっと、間違いではない。
巡り巡って。
はず。
(どう巡るんだろう。)

 

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