skip to Main Content

今、US、サンフランシスコに出張に来ている。

今回は、SOCAP15というイベントと、NEW Coというネットベンチャーの会社に説明を聞きにいけるサービスと、社外取締役の黒崎さんにいろいろな会社を紹介してもらうのと、と、盛りだくさんな内容での出張だ。
とはいえ、裏の一番の目的は、それらの隙間で、いろいろなシェアリングエコノミーを体験することだ。
今日は、その出張の感想、UberとFeastlyの2つについて、このブログにてシェア。

ちなみに、ガイアックスのメンバーも数名、入れ替わり立ち替わり、この出張に参加する予定だが、グループ会社のアディッシュの杉之原とほぼ同じ日程なので、且つ、彼女のブログでも別の視点からのエントリーがあるので、ぜひご覧頂きたい。

私は私。 – アディッシュ取締役 杉之原明子のブログです。 –
http://adish-hr.hatenablog.com/

 

●Uber

・UberPool
米国でUberを使ったのは初めてである。
これまで、日本とシンガポールとフィリピンで使ったことがあるが、けっこう便利に使えるな、程度であったが、米国、このサンフランシスコでは、UberPoolという相乗りサービスが去年からリリースされていた。つまり、普通にアプリからタップすると、Uberではなく、UberPoolで相乗りを選択することになる。

なんと、Uberの車が僕をピックアップしにきた時には、すでに別のお客が乗っているのである!
そして、道の途中でそのお客が降りたり新しいお客が乗ってきたりしながら、僕の目的地へ付き、僕を降ろして、そのまま残っているお客を運び届けるために、走り出していく、というサービスである。
相乗りのため、若干、遠回りするケースもあるが、料金としては数割は安くなっている。

これって、すごい。
相乗りをすることになった僕の気持ちがどうこう、ではなく、社会システムとして正しすぎる。
移動したい人を、その辺で、何かいい仕事がないかなと思っていた人が、車を運転さえすれば、車を最大限に活用しながら、それも1席以上空いている席を全て有効活用しながら、お届けするのだ。
運転しはじめると、人が絶え間なく乗り降り続けるので、且つ、乗った人には、到着予定時間やコースも見れることができるので、且つ、確実に渋滞情報も織り込まれた上でコースを選定されているので、もはや運転手に何も権限もない。ただただ、指定されたコースを移動し、乗せるべきポイントで人を乗せ、降ろすべきポイントで人を降ろすだけ。もはや、ほぼほぼ機械な運転手のようにも見える。
羨ましい。僕も、銀河鉄道999に乗ってアンドロメダに行って機械の体を手に入れるんだ!
いやいや、すごいね、本当に。

それ以上にすごいこと。
おそらく、世の中的に、普通のUberからUberPoolへの移行って、「一瞬」で完了したよう気がする。
つまり利用者は、地点Aから地点Bに行くために、アプリを取り出し、2〜3クリックするだけ。
来たものに乗り、着いたら降りる。
来るものが、今日から、相乗りに変わろうが、無人の自動運転の車になろうが、気にならないのである。

ネット上って、ボタンの場所を変えるだけで、動線を変えるだけで、見られるページが変わる。たとえば、iPhoneの画面の中に、Apple Musicへのリンクを貼れば、良くも悪くも、Apple Musicに人が流れるように。
シェアリングエコノミーって、ネットとリアルが完全に連動したサービスであるため、サービス設計を変えるだけで、見るページが変わるのではなく、人や物の動きが完全に変わるのだ、と実感できた。
これまでは、こちらのページビューが100万PV変わった、とかっていう話だけど、シェアリングエコノミーでは、今回の変更により、全員が相乗りすることになり、お客の支払いが減り、ドライバーの収入が増えたのである。また、同じ利用者の移動距離を導き出した、ガソリンの消費量が、何割かとかは減っているだろう。

そのうち、もっと効率的になって、相乗りが当たり前に加えて、乗り換えも出てくるかもしれない。タップしてともかく10秒で車がやってきて、それに乗り、でもそれはスピードを優先して僕を乗せただけであって、僕の最終地点に行かない車だから、道のりの途中のどこかで、一瞬降ろされ、そして降りた瞬間に次の乗るべき車がやってきて、それで最終地点に行く、みたいな。そこまでなってくると、もはや「交通」が全部で一つの生物だ。

・Uberオフィス
オフィスに行って話を聞けるというサービスのNEWCoの対象だったので同僚と行ってきた。
同僚のメモから議事メモを抜粋。

議事メモ

・Uber社としても、元々意図してなかった社会のインパクトがいろいろあった。本来、時間とコストの削減がUberの特徴だったが、Uberの普及につれて、飲んだ後、Uberを使って帰る人が増え、結果として、飲酒運転の事故が減った。また、本来、危険でタクシーが運転していないところにも簡単に呼べるようになった。交通というものを大きく変化・改善させた。

・新規のビジネスを展開している。
Uber for Business、企業向けのサービスで、社員がどこにいてどのように利用しているかトラッキングが可能。
UberEATS、食べ物を届けるサービス。5分でランチが届く。昨年12月の3日間で5万食を提供。
UberHEALTH、救急車の代わりにUberがやってくる。
UberASSIST、車いすの方のお手伝いをしたり、各種応援や物資を届けたり。

・APIの提供しはじめた。今日時点で、全11パートナー。
ApplePayでも使えるようになった。
Google Mapと組んで、移動時間・距離の表示の際に、Uberを利用した場合の時間と料金を表示させた。これで、25%利用が増えた。
中国ではBaiduと組んでいる。海外は他のアプリと完全に組んでいるのでBaiduのアプリだけで利用できてしまう。ついては、ユーザーはUberということを知らない。
今後、マイクロソフトと組んで、スケジュールを登録した場合に、アポに向かうタイミングで、Uberを使いませんか、というオファーが表示されるようにする予定。

・UberPoolの提供をはじめた。
輸送距離が大幅に削減されている。1週間でLAで10万人のユーザーがいる。地球環境にも良いし、お金も削減できる。
相乗りで出会った方のうち、1組が結婚した。予期せぬ出会いからジョブエントリーにつながったりしている。
現在、相乗りによる移動距離の増加と金額のセーブのどの水準が適正かトラッキングをして、微調整中。

おしゃれなオフィスのクセして、テクノロジーの徹底度合いに圧倒されつつも、ともかく刺激的だった。

・Uberでの仕事
せっかくのシェアリングエコノミーをいろいろ体験するために出張しに来ているので、且つ、レンタカーもあるので、自分自身がUberのドライバーの仕事をできないかチェックしてみた。
個人的には、副業に当たるわけだが、ガイアックス的にはお目こぼし可能だろうし。
どうせUberのことだから、基準を満たせばすぐに瞬時に働けるかなと思って。

僕も多くのお客様を、皆様の目的地に、自分の判断ではなくビックデータから導き出される正確な道のりを使って、お運びしたい!僕もこの大きなシステムの一部になりたい!僕も銀河鉄道999に乗ってアンドロメダに行って機械の体を手に入れるんだ!

結論としては、さすがにダメだった。
自分の車であること。USの免許であること。英語が流暢であること。事故歴がないこと。あれ。。全部ダメだ。。

ちなみに、免許はあるが自分の車がない人がUberのお仕事をする用に車をリースで貸し出すサービスがあった。さすが米国。もうすでにUber経済圏が出来上がっている。
breeze
https://www.joinbreeze.com/

いわば、社員さんにパソコンを貸与するような感じだよね。
そのうち、Uberで働く人用の福利厚生サービスや、年金サービスや、健康保険組合や、仕事の教育サービス(つまり上司)などが、独自の資本で出てきそうだなと思った。
Uberは、既に「交通」を変えたが、雇用ではなく、スキマ時間で自営業として働くというそのスタイルが「労働」という概念も変えていきそうだ。

 

●Feastly

食事をみんなでするサービス。こちらは、NEWCoで満席だったので、オフィスには往訪できなかった。残念!
とはいえ、サービスの利用はした。
食事系のシェアリングエコノミーのメジャーなサービスとしては、EatWithとかFeastlyとかVerlocalなどがある。

・予約まで

EatWith
http://www.eatwith.com/
どちらかというと、料理をされる方の人にお伺いして、その人の家でグループで食べるというコンセプト。クックの方と交流出来るサービスである。
ただ、EatWithでは、この出張中で行けそうな直近の予定では該当コースがなしだった。リクエストを送って調整するのだろうが、ちょっと面倒なので一旦パス。

Verlocal
http://www.verlocal.com/
Verlocalは、食に特化していない。お菓子作りなどが多いサービス。ArtやFitnessやMusicやDanceなどの体験もある。
ガイアックスがやっているTABICAや、ソトアソビや、asoview!などに近いのかもしれない。もっとカルチャー寄りだからCyta.jpみたいな感じかな。
行けそうな日程で、食べ物や飲み物で絞ると4件。しかも、食べ物をガッツリ食べるとなると、良いものは、サンフランシスコの中心からけっこう遠かった。
ということで、こちらもパス。

Feastly
http://eatfeastly.com/
Feastlyは、食を通じた交流会のサービス。料理をする方だけではなく、その場に10人、20人が集まって交流しながら食事をするサービス。
結果的に、Feastlyで良い日程のフィリピン料理があったので、これに行くことになる。今回は、自宅とかではなく、レストラン貸し切りで開催されていた。

・体験内容

今回は、フィリピン料理のレストラン貸し切りで20名ぐらいの参加者だった。
ホストが開催するので、面白いかどうかもホストが全て。ホスト次第。今回のホストは、数名のチームだったが、店員総出で、料理の説明をしっかりされたり、いろいろ聞いてこられたり、お代わり要らない?とか、誠実に対応してくれた。ただ、水を出すのが回ってなかったり、予定から20分遅れなのに食事がいつ出てくるのかなどのアナウンスが無いなど、まぁまぁグダグダな部分も多かった。みんなで協力しながらって感じ。

普通のレストランで食べるのと違う点は、全く知らないお客様同士のつながりが出来るという点。見ず知らずの人といろいろ話すことが出来る。
とはいえ、ホスト側から、交流を活発化させるファシリテーションとか、そういう何かがあるわけではない。

話が出来やすい雰囲気である理由は、一つは、食事の開始タイミングが一緒ということ。一緒に「いただきます」をして始まる。また、店が貸し切りで、席が20席で一つのテーブルになっている。あと、参加者一覧がウェブから見れるようになっていて、且つ、Facebookへのリンクがあるので、参加者のプロフィールが分かるようになっている。ただ、皆さん、誰が来るかをじっくり調べた感じではないし、Facebookをリンクさせることもルールではないので完璧にリスト化されているわけでもない。

・料理内容

1人あたり32ドル。飲み物別で、持ち込み自由。何人かは、自分たちでワインを持ってきていた。事前決済済みだから、Uberみたいに、ふらっとやってきて、ふらっと帰れる。
前菜は、揚げ春巻きで、メインは、ライスボウル。あと軽いデザートの3品。
ライスボウルがあるので、ボリュームはあったものの、32ドルで3品だから、ちょっと高い感じがする。つまり交流という要素がプラスオンされていないと、価値が合わない気がした。
Feastlyのサイトで、他にリスティングされていたのは、イタリアンのコースとかで50ドルとかだった。ちなみに、プラットフォーマーであるFeastlyの手数料は20%程度。それを考えるとこんなものかな。

・主催者の情報

主催者は、ハワイ生まれのフィリピン人。Feastlyは、2年前から始めたそう。月に1回やっていたが、最近は月2〜3回に増やしている。確実に20名ぐらい来そうなので、けっこう儲かっているように見える。回数を増やしているということは、徐々に社会にFeastlyが普及してきているのかもしれない。
いろいろなレストランを転々としながら借りて開催しているようで、今回、このフィリピンレストランで開催するのは、はじめてと言っていた。この店を貸し出しているオーナーのフィリピン人の女性の方も同席して、一緒に客席に座って食べていた。

・参加者の状況

はじめての方が多い。基本は数人のグループで参加している。数人でコミュニケーションしに来ている。僕たちは3人で参加。

隣の3人の大学生たちは、授業の一環でシェアリングエコノミーを研究している人達。初めての利用。
逆の隣の大学生は、付き合っている彼女がFeastlyでもてなす側の一員。食べに来てと言われて来た。初めての利用。
さらに隣のアメリカな感じの超元気な白人女性2人組は、2回目。ワインを持ってきていた。
端の2人組。ダイヤモンドを販売している40代ぐらいの男性と、20代ぐらいのゴージャスな女性、世界を転々としていてサンフランシスコに家を買おうかなと言っているぐらいのアッパーなカップル。
その他に8人ぐらい。ワインを持ち込んできていたので経験者だと思われる。

参加者の意向については、まだ1回目の人も多く、交流したいというそこまで強いニーズを持っている人はいない感じだった。パーティが好きな人はリピートしそう。あまりに参加者が多彩過ぎてで、合コンみたいな雰囲気は一切なかった。

旅行者として、現地の人と触れ合うとかって、実際なかなか珍しいことなので、本当に楽しかった。旅行者として感動した。
また、日頃から交流が好きで、交流をしたい人には、このサービスはすごく良いとも思う。
とはいえ、普通に交流がそこまで好きではない、一人でご飯を食べるのが好き、な人には、そこまで引っかからないだろうな。

こういうサービスを日本で展開したい。もしも日本で展開したら、食事の出合い系に見えて、合コンアプリみたいに取り上げられそう。それは嫌だな。
あと、サンフランシスコですら、2年前に始めた人も月に数回程度の開催だし、実際、リスティングされている開催数もそこまで多くないので、普及までにまだ時間がかかるのだろう。うまく普及のためのブレークスルーを見つけなければならない。

 

あと、何より、もっと普及しないと感動しない。サービスは同じでもいい。もっともっともっと普及させたい。
2014年の初めの頃、Uberを日本で初めて使った時、同乗者にカッコつけるために使ったクセに、実はあまり感動しなかった。おそらく台数も日本で数十台ぐらいだっただろうし、アプリで呼び出してから到着まで15分20分ぐらい掛かってたし。まぁ普通のタクシーより決済のところがちょっと便利かなという程度であった。

ところが、今、サンフランシスコだと様子が違う。
Uberアプリを立ち上げると、昆虫の集団みたいに、数多くの車が地図上をウヨウヨしているし、明らかに多くの人が自分の車で、そこら中でお客さんを待ち構えているし、実際タップすると2〜3分で来る。利用者側も移動は、ほぼほぼ当たり前のようにUberだし。しかも最近はPoolだし。
いわば、道路の車の脳と歩行者の脳が合体していて、最高に効率的に動いているのだ。感動だ。感動だ。

 

世の中の構造として、食事系シェアリングエコノミーも、そのぐらいに、もっと普及しないと感動が爆発しない。

例えばの話、夕方6時に今日どこで食べようかなと思う。選択肢はいくつもあるが、向かいの家の7時のイタリアン10名の食事会を選び、そこに参加する。
そんな感じで毎日、徒歩圏であっても、数件の食事会が開催されていて、普通に「初めまして」の人も含めた5名とか10名で一緒に食べる。近所の人とよく一緒になりつつ、時々、旅行者なんかも混じりながら。

そこら中の人が、ただ食べ始める時間が同じぐらいだったというだけで、一緒のテーブルを囲んで、一緒に「いただきます。」なのだ。

この瞬間はそんな未来はまだ信じられない。でも、「相乗り」と同じように、「一瞬」で時代は変わる。

誰とでも一緒に「いただきます。」な世界に、「一瞬」で時代は変わる。

 

サンフランシスコに来て2日目で、あと10日居る予定だが、早くに日本に帰って、お仕事をしたくなってきた。

 

Back To Top